昨年12月に実施した野外調査と、その成果についてお知らせします。
学芸員課程の一環として、古墳の発掘調査を体験実習してきました。
参加者は、博物館学の科目を受講する史学科の1?3年生。
実習先は、茨城県土浦市にある后塚古墳(土浦市指定史跡)です。
博物館が行う代表的な野外調査に遺跡の発掘調査があります。
この実習は、古墳の発掘調査に参加して、野外調査の学びを実体験することが目的です。
后塚古墳は、霞ヶ浦を望む台地上にある全長54mの前方後方墳です。
王塚古墳(全長86mの前方後円墳)とともに、4世紀頃にこの地域を治めた
首長の墓と考えられています。
霞ヶ浦湖岸のハス田からみた台地上の古墳
今回の発掘調査は、土浦市教育委員会と筑波大学考古学研究室が行う学術調査で、
本学や茨城大学、東海大学、東京大学、明治大学の学生、大学院生が参加しました。
古墳の裾を発掘し、前方後方墳の形を確認しています。
スコップで表土を掘り上げるのがとても大変でした。
そのあと、移植ゴテでていねいに、慎重に発掘しています。
その日の成果を調査区ごとに担当者が報告し、全員で検討会を行います。
この調査区は、本学の3年生が説明しました。
冬の寒気は冷たく、発掘調査はなかなかの重労働でした。
全員筋肉痛や腰痛になって、厳しい体験実習でしたが、
学内の講義では味わえない野外調査ならではの面白さや多彩な学びを
経験できたようです。多くの方々にお世話いただき、有難うございました。
この野外調査の成果が『王塚古墳?后塚古墳No.2パンフレット』にて公開されました。
土浦市指定史跡であるこの2つの古墳は、今から1700年前(古墳時代前期)に
つくられたと考えられます。2018年度および2019年度の調査により、
后塚古墳の正確な大きさや形などが明らかにされました。
本学の学生たちは、2019年度行われた第4~第5トレンチの調査に参加しました。
このような共同作業を通じて、発掘調査の経験を積み、
より立体的に歴史を学ぶことができました。
パンフレット画像出典:『王塚古墳?后塚古墳No.2パンフレット』
(2020年3月25日発行、
編集 荒井啓汰(筑波大学大学院)、監修 滝沢 誠(筑波大学人文社会系)